|
金正日さんの行動は北朝鮮経済の研究では欠かせない。1月25日の朝鮮中央放送と平壌放送は「人民軍の養豚・食肉加工場」を現地指導した模様を伝えた。
「金正日同志は、いまわが国には優良種の子豚を十分に生産、供給することができる整然とした原種体系が確立したのをはじめ、ブタ肉生産を飛躍的に伸ばすことができる物質・技術的土台が堅固に築かれた、とし、この有利な条件を利用し、すべての単位がブタの飼育を大々的に行うことにより、祖国保衛の最前線で献身しているわが軍人らに一層豊かな食生活を与えるべきである、と述べた」(RP訳) この午前7時の定時ニュースのトップで放送されたことは、意義があると見られている。それは新年の共同社説が農業に拍車を掛けると唱っていたからでもある。金正日さんは、近年建設されたブタ工場が有機質複合肥料の生産工程を整え、その結果生産された有機質複合肥料を付属農場へ供給し、穀物生産を増加させた、ことを引き合いに人民軍のブタ工場を指導したようだ。人民軍のブタ工場も有機質複合肥料を生産し、付属農場へ供給して穀物の増産を説いている。このブタ工場の建設、有機質複合肥料の生産、穀物増産を「環状循環生産体系」が餌の問題解決の根本的な鍵だとも述べたようだ。 丹東から新義州へトラックが走るのだが、金正日さんの誕生日前は豚肉が運ばれる、そうである。北朝鮮では「晴れ」の日には豚肉が欠かせない、と言われている。数年前のことだが、在日の中で目端が利くことで定評のある商工人から、京城のゴミ処理に関わる話を伺った。それは京城から東西・南への道路は混雑するので、唯一空いている北方への道路を活用して、ゴミを運び出そうという計画であった。 軍事境界線の北、開城の東には無人の荒野が拡がっているそうだ。朝鮮戦争で水利施設が破壊され、再び農地へ戻せなかった地域と見られる。そこに京城の一大ゴミ処理場を設けようとする計画であった。京城の残飯を集めれば、開城東部の荒野に一大養豚場が建設出来ると言うものであった。 国立京都国際会館で、「海外コリアンシンポジウム・世界大会」が2009年12月5日~6日に掛けて開催された。朝鮮半島の「平和と海外同胞の役割」をテーマにしたシンポジウムだが、主催者は「在日コリア協議会」となっていた。 在日コリア協議会は封筒の表書きから分かることだが、4カ所に中央本部が置かれている。東部地区は東京都台東区東上野、中部地区は愛知県豊橋市下五井町、関西地区は兵庫県尼崎市名神町、西部地区は福岡県北九州市小倉北区室町に置かれている。 その中で、中部地区が注目に値した。それは豊橋市下五井町青木31、NPO法人三千里鉄道内と成っていたからだ。金達寿師は「三千里とは、鷄林、青丘と同じく朝鮮を意味する」と述べていたからだ。つまり、「NPO法人三千里鉄道」とは「NPO法人朝鮮鉄道」を意味するからであった。そして、NPO法人三千里鉄道の仕事だが、朝鮮半島北域に「三千里養豚団地」を建設しよう、と活動している。 一般に北朝鮮の食糧問題だと言えば、炭水化物に限定されがちである。北朝鮮の食糧問題では蛋白質を如何に供給するか?論じるべきであろう。だから、南牛は金正日さんのブタ工場視察を高く評価せざるを得ない。同時に、三千里養豚団地の建設も評価せざるを得ないのである。 在日は和合、コリアは平和、世界は融和をキャッチフレーズにした「海外コリアンシンポジウム・世界大会」での基調講演の筆頭は、大阪市立大学の朴一教授であった。「朴一」の名前は知っている。朴一教授の岳父だが、高二三に拠れば、南牛の知人らしかった。生前はやあ、やあの関係らしかった。それが事実なら、南牛は朴一教授の叔父貴分に当たる。大阪商工会の会長を務めた李吉炳は、南牛も知らない分けではないが、済州島系のヤクザを前にして、お前の親父とは島で知らない関係ではなかった、俺はお前の叔父貴に当たるのだ、と怒鳴りつけた、という伝説を持っていた。だから、李吉炳流に言えば朴一の叔父貴に南牛は当たる分けだ。 その朴一教授基調講演の「南北経済協力の成果と課題」について、あれこれ注文を付けるのは、叔父が可愛い甥を間違った道へ入り込まないように注意しているのだ。何で注意したいかと言えば、これは大変にピントが外れているからだ。 朴一教授は、10年間の太陽政策が「限定的とはいえ北朝鮮の“改革・開放”を後押ししてきた」と、評価する一方、李明博政権の「核放棄に応じなければ支援しない」という試みは「改革・開放」の動きを中断させかねない、と批判している。 朴一教授は木村光彦が分析した金日成主席の経済手法(『北朝鮮の経済』)を勉強し、金正日さんが、その手法をどの様に継承しているのか?検証して見れば、「改革・開放」を後押ししてきた、などとノーテンキな北朝鮮経済の分析が出来る分けがなかろう。朴一教授は金正日さんの、固く社会主義を守ろうとする意識を読み損じている。恐らく、朴鳳瑄先生の先軍政治を分析した著作などに目を通して無い、のだろう。 南牛は金大中・盧武鉉2代に渡る左派政権の採った太陽政策の肯定面は、北朝鮮経済に「改革・開放」へ向かわせなかった点にある、と見ている。朴一教授は「改革・開放」を評価しているが、巨大な赤色支那を後背地に持った北朝鮮に対して、その政策を採らせることが朝鮮民族に取って良い事なのか? 折角、コリア協議会が主催するシンポジウムでの基調報告である。金正日さんが北朝鮮の「蛋白質」を論じている重要性に注目し、「朝鮮半島を緑と平和の大地に!」をテーマに一大養豚場を建設せんとするNPO法人三千里鉄道の活動の意義を分析出来なかったのか? 蛇足かも知れないが、朴一教授が開城工業団地を南北経済協力の視点で捉えるなら、把握の仕方に問題があろう。それは北朝鮮の労働力が安いという、同じ朝鮮人でありながら安く使おうとしているからだ。韓国と同一賃金で工業団地を経営出来なくて、何の南北経済協力と言えるのか?と朴一教授は突っ込めないのか? 2010年2月1日 南牛 安部桂司 |