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山梨学院大学の宮塚利雄教授は、その愛嬌のある風貌でお茶の間に受けている、ようだ。北朝鮮の下着問題に詳しい、とマスコミ関係者の間では見られているようだが、韓国ならいざ知らず北朝鮮の中までも、あの宮塚利雄教授でも手が届かないでしょう。北朝鮮女性の下着を論じるならば、実は南牛の知人のミセス安が詳しい。彼女に拠れば、北朝鮮女性の下着には強い日本の影響が伺えるそうだ。
赤色支那の女性の下着が、日本の影響化で90年代に変貌したことは、小島衣料の小島正憲社長(現会長)のレポートにもある。帝国陸軍は亜細亜を席捲するに大変な労力を要したが、日本製下着が東亜から世界を容易に席巻しつつあり、北朝鮮も例外ではない。 だが、「珍島物語」の歌手、天童よしみを彷彿させる宮塚利雄教授の風貌は本当にテレビ向きである。テレビで人民軍兵士の下着を提示した手際など魔術師のようだった。あの手際の前には、テレビ局が、宮塚利雄教授を多用することも分かる。映像向きなのだ。 天童よしみの歌で「珍島」を知るのだが、その珍島出身の知識人に朴東彦先生がいる。朴東彦先生の著作と言えば『誤算』がある。『オサン』はハングルの書名となっており、日本名のサブタイトルは『米・日の誤算』である。 朴東彦先生は青島中学から金哲央教授の通った旧制一高に学び、大学は東北大学へ進んでいる。 朴東彦先生の訪朝記には、「共和国の国民は裕福ではないが、質素で素朴な生活に慣れており、南の市民と変わらない普通の朝鮮人であることを再認識しました」と述べている。 朴東彦先生は小平の朝鮮大学校でも教えている。その為、韓国訪問時には「係員」のチェックを受けたらしい。朝鮮大学校を韓国のマスコミ関係者が取材に訪れた際、案内したそうである。それで韓国で知られていたのだろう、と書いてあるが、朴東彦先生と言えば、韓徳銖時代の総聯中央で国際局の幹部を務めた方である。韓国では、朴正煕大統領の時代に当たるから、あの「悪名高い」KCIAが朴東彦先生を知らない分けはなかろう。朴東彦先生の珍島訪問は廬武鉉大統領時代だったから、「係員」のチェックも緩かったのであろう。 朴東彦先生は在日知識人として大変興味深い方だが、評するには資料不足であり、今回は民族教育という同じ経歴を持つ朴鳳瑄先生を取り上げることとした。それにオサンが誤算ならば、朴鳳瑄先生の著作『アメリカを屈服させた北朝鮮の力』(雄山閣、2007年10月刊)の内容にも重なる部分がある。実を言えば、南牛の調査は昭和10年代に置かれているが、基本的命題も「誤算」であり、朴東彦先生、朴鳳瑄先生とは共通の知的目標を持っている。 朴東彦先生は1925年生まれで、同じ全羅道出身だが1926年生まれの朴鳳瑄先生より一年年長である。だが、同じ全羅道でも黄海に面した朴東彦先生と異なり、朴鳳瑄先生の故郷は海から遠い山間部の淳昌郡であった。朴鳳瑄先生が故郷を語った文章を未だに見付けていないが、自身の結婚を語った文章は見付けている。 朴鳳瑄先生と言えば、ウラジミールさんの付けた「驚異の知識人」という敬称は有名だが、金正日総書記の政治手法を『北朝鮮「先軍政治」の真実-金正日政権10年の回顧-』(光人社)などで解説・紹介したことは、大きな業績であろう。山梨学院大学の宮塚利雄教授などにも、朴鳳瑄先生の著作を取り上げて論じて貰いたかった。金正日総書記が何を考えているのか?先軍政治とは何か?北朝鮮が隣国だけに、多くの日本国民はその実態を知りたい筈だ。北朝鮮問題家と知られる宮塚利雄教授には、下着の解説より先軍政治の解説を行って貰いたいものである。下着の解説なら南牛でも出来るが、朴鳳瑄先生と先軍政治を論じるには、宮塚利雄教授の日常の研鑽に敵わないからだ。 さらに、朴鳳瑄先生は、2007年に雄山閣から、『アメリカを屈服させた北朝鮮の力』を刊行させている。ウラジミールさんが「驚異の知識人」だと驚くのも無理もない。南牛には、朴鳳瑄先生の知力が脅威に感じる。そして朴鳳瑄先生の著作を通して、北朝鮮の「先軍政治」を「驚異の政治」だと知らされている。だが決して、この場合は「脅威」ではない。
この『アメリカを屈服させた北朝鮮の力』の副題は「金正日委員長の先軍政治を読む」とある処から、『丹青』誌に発表された論文を発展させた著作だと納得した。それは「先軍政治で読み解く北朝鮮の現在」が、『アメリカを屈服させた北朝鮮の力』の刊行に先立ち2006年の『丹青』誌に発表されているからだ。 『丹青』誌は、在日朝鮮知識人の同人誌である。創刊号は2003年に刊行され、刊行当初から、その知的水準の高さで注目されて来た。在日朝鮮人社会では『三千里』、『青丘』等が同人運営であったが、知力は遙かに『丹青』誌の同人が高いと指摘されてもいる。廬武鉉政権下の対日政策は『丹青』誌から読みとれたことが再三あった。『丹青』誌掲載の論文が、廬武鉉大統領を動かした、と推察されることも再三であった。 それは同人の幾人かが訪韓した折りに、韓国政府筋(左派政権下)が大変な気配りをした、と言われていることからも納得が行く。『丹青』同人は、現今の南北朝鮮を通して最高の知的集団の一つに数えられるからだろう。例えば、『丹青』誌同人の研究には、幾つかの韓国の学会が深い影響を受けている。知的レベルの高さから、韓国の学会を指導出来る実情がある。 憶測を許して頂ければ、保守の現・韓国政権も、大統領が在日朝鮮人出身の李明博さんで在る限り、『丹青』誌同人の掌のなかにある。 朴鳳瑄先生の論文は創刊号に「9・11事件は反テロ戦争政策の産物」が掲載されている。そして以下の箇所に心惹かれた。 「では、米国の反テロ戦争戦略が狙う目標は何なのか?それは米国の帝国主義支配秩序を無制限に維持し、拡張しょうとするものである。米国の帝国主義支配秩序に反対する敵対勢力は社会主義国家であろうとイスラム国家であろうと無条件で(テロ国家)と規定し、戦争手段を動員して除去しようとするのが反テロ戦争戦略の基本目標である」 (『丹青』創刊号、29頁)
この思考を東條英機首相に持って貰いたかった。米国が対外戦争で維持されている統合国家だと認識していたら、もう少し用心深く対米交渉をあの時すべきであった。ジリ貧を覚悟しつつ、時間を掛けて対米交渉を行って置けば、その内に欧州も落ち着いたであろう。北朝鮮のように、帝国も先軍政治を貫徹しつつ気長に対米交渉を重ねるべきであった。航空機用の潤滑油の供給を米国に仰ぎ、その備蓄量が一年分しかなくて真珠湾を空爆するなど勇気の有り過ぎる軍事行動であった。軍需から見ると狂気の沙汰ではあった。昭和10年代、戦争を仕掛けずに、じっくりと構えて、対米交渉を続けて置けば、昭和21年頃にはウラン濃縮も出来た筈だ。何で帝国は5年待てなかったのであろう。昭和21年にウラン濃縮を完成させておれば、満洲国も存在し、空前の民族的災害を受けることはなかったろう。 今、日本に風が吹いているのは経済で世界3位に落ちたことである。赤色支那の台頭は、米国の関心を日本から赤色支那へ、そして北朝鮮の存在価値を高めつつある。金正日総書記は先軍政治を維持しつつ、ただひたすらにブッシュ政権下の8年間我慢しつつ、ウラン濃縮を完成させたのであろう。 次に朴鳳瑄先生が『丹青』誌に論文を寄せたのは、4号(2006年刊)である。「先軍政治で読み解く北朝鮮の現在」では「先軍政治」を、 第一は軍事先行の原則を堅持して国内外のあらゆる問題を解決していくことである。軍事先行は先軍政治の核心である。軍事を国事の中の第一国事とみなし、軍事力の強化に最優先権を与えるのが軍事先行である。 第二は人民軍に依拠して国家の全般的な事業を推進していくことである。軍を最も信頼をおける核心勢力、前衛部隊とみなし、軍に依拠して社会主義を守り、社会主義建設に拍車をかけることを意味する。 (『丹青』4号、143頁)
と、定義付けている。 現行の日本が、第一に自衛隊に依拠して国家の全般的な事業を推進して行かざるを得なく成っている実情から理解される定義である。だから、日本も第二に自衛隊先行の原則を堅持することが国の内外から、特にアメリカから求められている。北朝鮮とは第一と第二が逆転している。 さらに、同じ頁だが、朴鳳瑄先生は、「先軍政治は軍国主義とは決定的な違いをもつ。軍国主義は政治、経済、文化などすべての面で全国民を侵略戦争に動員する体制をさす。軍国主義は内的には軍事統治をし、外的には他国を侵略する」と、帝国の1930年代を批判することを忘れていない。 朴鳳瑄先生に拠れば「先軍政治が軍国主義と決定的に違うのは、その目的が侵略ではなく防衛にある」と、帝国との違いを強調している。それは日本共産党の一部に「先軍政治」を「軍国主義」と同一視する向きがあるから、歴史的相違を述べたのであろう。 そして、朴鳳瑄先生は「先軍政治の誕生」を、米国や日本、韓国で北朝鮮崩壊論などが流布されている時代に指導者・金正日は軍事重視、軍事先行の「先軍」の道を選択し、未曽有の国難(金日成主席の逝去と三年連続の自然災害)を打開した、ことが契機に成った(『丹青』4号、144頁)と説明している。子供たちにあげるアメ玉の生産は減らしても生きていけるが、武器と弾薬の生産を減らしては生きていけないと金正日総書記は述べたらしい。 朴鳳瑄先生の労作、「先軍政治で読み解く北朝鮮の現在」は、僅か6頁の論文である。だが、『アメリカを屈服させた北朝鮮の力』は、「先軍政治とは何か」「先軍政治誕生の背景とその普遍性」「先軍政治の特徴」の三章で構成され、229頁の大作である。 先ず、第一章に、 「力強い党を作るにしても、また国家を建設するにしても、確実に軍事を先行させるべきであり、経済と文化を発展させる事業ですら、精強な軍事力の裏づけがあってはじめて成功裏に推し進めることが出来るのである」 (『アメリカを屈服させた北朝鮮の力』10頁)
ここに精強な「軍事力」とあるのは、核戦力を指していることは明白であろう。 そして第二章に、 「“非思想化”および“非政治化”された軍は、いくら多くとも役に立たない」 (『前掲』90頁)
今、日本国民は、自衛隊が役に立たないのではないか?という疑義の前に立たされている。それは自衛隊が非思想化及び非政治化させられているからだ。一縷の望みが「田母神論文」であろうか。日本国民は強い軍隊の復活を望んでいる。 「ソ連が崩壊した後にはアメリカが国際舞台で主導権を握るようになった。これによって冷戦は終焉したが、国際舞台では以前にも増して支配と隷属、侵略と戦争、紛争と対決が一段と激しさを増した」 (『前掲』116頁)
冷戦終結を単純に平和な世界が到来したと錯覚している日本国民への警告とも成っている。斯様な朴鳳瑄先生の世界情勢への分析にウラジミールさんは敬意を表したのであろう。 そして、第三章に入ると、 「アメリカの北朝鮮侵略を、祖国統一を成し遂げる機会に逆転させる、これが先軍時代の北朝鮮の軍と国民の覚悟であり、揺るぎない信念である」 (『前掲』198頁)
核開発を背景にした朝鮮半島の統一を語っている。さらに「今のアメリカ行政府が、北朝鮮を軍事力をもって屈服させることが絶対に不可能であるとの結論に到達する時間が遅れれば遅れるほど、より高い代価を払うことになる」と、言及されると、漸くにしてウラン濃縮の進展が読みとれる。 帝国は黄海道と平安北道にウラン鉱山を発見し、核開発に走った。だが、真珠湾攻撃が早過ぎて対米戦争に間に合わなかった。1945年3月、千藤三千造帝大教授は学生を前に「核兵器は今次の戦争に間に合わない」と、語っている。もう少し、ジリ貧を覚悟して対米交渉を粘るべきであった。支那から陸軍を引き上げる「交渉」をすれば良かったのだ。その点、北朝鮮と金正日総書記は粘っている。黄海道と平安北道の功績にはウラン含有量が豊富であっただけに残念であった。それにアメリカのウラン鉱山の所有、半分の権利は帝国海軍技術大尉が持っていた。そのウラン鉱山の発見者は大尉の尊父、茨城県大子町出身の方であった。 朴鳳瑄先生は茨城県と何かと関係の在る方だが、それは茨城県から福島県へ掛けての「常磐炭鉱」の労働力を全羅道から求めていた歴史的経緯もある。そして朴鳳瑄先生は、「アメリカは9/11事件以降、“反テロ戦略”を自国の軍事戦略の柱に据えると公式に宣言し、21世紀は“反テロ戦”がアメリカの戦略の中心課題になるとした」(『前掲』210頁)と、米国の軍事路線を概略し、「これは国際社会において自分らの気に食わない国に対しては“テロ国家”とか“ならず者国家”のレッテルを貼り、完全に除去するまで“テロとの戦い”を長期的に繰り広げていくということを意味する」と、アメリカの軍事戦略を総括している。 このアメリカの軍事戦略に「先軍政治は戦争の方法だけで敵を懲罰する好戦的な政治方式ではない」(『前掲』213頁)と、応えている。帝国も昭和16年に戦争の方法だけで対応したことを反省すべきであろう。東條英機将軍に「我慢」を今更説いても詮無いが、残念である。もう少し、時間を稼げば、帝国は黄海道と平安北道に世界に誇るウラン鉱山を発見していたのだ。核開発とウラン濃縮で米国にそれほど遅れなかった筈だ。残念である。 そして朴鳳瑄先生は先軍政治を以下の様に高らかに宣言する。 「北朝鮮を押し潰そうとするなら、アメリカを先に押し潰してしまうというのが北朝鮮の覚悟である」 (『前掲』228頁)
これは、帝国も一度言って見たかった言葉であろう。だが、アメリカを先に押し潰すことは容易ではない。アメリカイネミズゾウムシからメキシコ豚インフルエンザと次々と東亜制圧作戦を繰り出してくる。だが、このアメリカイネミズゾウムシ作戦は、帝国の独創的な対米戦略であった牛疫作戦の裏返しである。帝国は米陸軍の戦力を支えている米国西部の牛撃滅作戦を昭和10年代に考案し、作戦発動直前に東條英機参謀総長が発令を中止した。米国に独創性の欠如していることは、女性の下着でも分かるだろう。何といってもブラジャーは日本だ。 女性の下着の改良は日本に任せ、豊穣な米大陸が亜細亜20億の胃袋の支配を目指して抜け目なく、アメリカが動いていることに、朴鳳瑄先生には注意を払って下さい。だが、先軍政治が帝国の真珠湾攻撃と異なり、「防衛」を主導することだと理解させて下さった、ことに、南牛は感謝している。 朴鳳瑄先生の『アメリカを屈服させた北朝鮮の力』は、宮塚利雄教授だけでなく、西岡力教授、恵谷治教授など、北朝鮮を論じる方々には是非読んで頂きたい。我々は北朝鮮の先軍政治を勉強しつつ、帝国の対米交渉が如何にせっかち、稚拙であったか反省する必要がありそうだ。尚、「金正日替え玉」説の重村智計教授には読んで貰うこともなかろう。 南牛が説く「アメリカを屈服させる日本の力」は、全土のゴルフ場を閉鎖して桑畑に替えることであるが、その内実を語ると朴鳳瑄先生の著作から外れるから、止める。アメリカは面白い国である。2005年制作のシャーリーズ・セロンの「スタンドアップ(North Country)」を見たが、感動深い映画であった。南牛の双眸から涙が流出した。シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)は、2003年制作の「モンスター」でアカデミー主演女優賞に輝いた女優である。民族教育の視点から、朴鳳瑄先生にもこの映画の鑑賞をお勧めする。アメリカは一筋縄で行かない国ですぞ。南牛は労働運動家としての経歴から、「スタンドアップ」を幾度となく鑑賞している。 帝国は米国に「アメリカを押し潰してしまうぞ」と、警告を発しきれなかったが、アメリカの女性の下着を完全制圧すれば、日本による米国支配の展望が開ける、と確信させてくれた映画でもあった。 2009年9月5日 南牛 安部桂司 記 |