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2010/09/07 Tuesday 16:56:13 JST
 
 
産経新聞の科協に関する記事について プリント メール
2006/11/19 Sunday 16:22:48 JST

産経新聞の科協に関する記事について

 18日の産経新聞朝刊一面に「北工作機関の直轄」として科協の記事が大々的に掲載されている。
 特に目新しい情報が記されているわけでもなく「何を今更」といった内容なのだが、少々気になる記述もある。「全国12支部の会員1200人弱の名簿も押収され、うち約300人が幹部級だった」という部分だ。

 筆者はこの名簿を目にしていないのだが、おそらく全体のうち多くの割合を朝大卒が占めていると思われる。「在日本朝鮮人科学技術協会」には朝大理工系卒業者の親睦会的な意味もあり、科協のいわゆる「工作機関的役割」を担う人々が必ずしもこの名簿に網羅されているとは限らない。そういう意味では、科協とは名簿があってないような組織だ。

 科協は、もともと「在日本朝鮮人科学者協会」(59.6.28結成)だった。それが85年7月14日、「在日本朝鮮人科学技術協会」へと改組される。それまでなかった「技術」の文字が、新たに加えられたのである。ここに関係しているのが北朝鮮の「合弁法」だ。

「科学者協会」時代の旧科協は、基本的には日本の大学を卒業した在日科学者の団体。日共系の日本科学者会議に張り合うべく、優秀な科学者による学術組織を指向していたのであった。もともと「科学者協会」とは、たいへんアカデミックな組織だったのである。

アクティブイメージ いっぽう在日の最高学府、朝鮮大学校は「中央朝鮮師範学校」→「朝鮮師範専門学校」を経て、56年4月10日に偽装会社「共立産業」から用地を買い取る形で創立(同社社長は架空の人物)。当初は2年制であったこの「大学」には、すでに理数学科があった。58年に4年制学部に改編。68年に朝大は美濃部東京都知事により各種学校に認可された。

 だがいくら創立当初から理数系重視教育を行っていたとはいえ、所詮は各種学校。すぐれてauthenticかつ学術指向的な「科学者協会」は、朝大卒の入会を受け付けなかったのだ。そのため朝大卒の優秀な在日科学者が、「科学者協会」に入る……つまり祖国が認める在日科学者となるには、朝大卒業後に日本の大学に入り直さねばならなかった。たとえばウラン濃縮の専門家である“北のカーン博士”趙康造博士の略歴は、そのような経緯を暗に示していると言っても過言ではない。

 だが朝大で理工系の学問を修めた人々がとる道の多くは、科学者ではなく技術者。もういちど日本の大学に入り直すより、町工場に勤めたり、あるいは自ら経営して持てる技術を磨いてゆく、という方策を選んだ者が多かったのは、むしろ当然であろう。こうした人々が実際的な技術経験を積み「いっぱしの技術者」となるのは、ちょうど80年代を迎える頃だった。

 おりしも北朝鮮では84年9月8日に合弁法が施行。合弁法の目的が資本主義国家、特に日本からの技術導入であることは言うまでもない。祖国が在日科学者に望んだのは、アカデミックな学術機関ではなくなった。合弁企業を通じて日本からの科学技術の導入を期待した北朝鮮の意に沿うために、「科学者協会」は一大変貌を遂げねばならなくなった。「いっぱしに育った」技術者たちを大挙して参入させる必要が生じたのだ。それが、「在日本朝鮮人科学者協会」から「在日本朝鮮人科学技術協会」への改組の意味である。

 したがっていまの科協には、朝大卒が日本の大学を経由せずに、そのまま入会できる。科協が現在、朝大理工系卒業者の親睦会的な意味合いを持つようになるのは当然の流れといえる。科協会員1200名がみな対外連絡部直轄の工作組織構成員、というわけではない。産経新聞の記事に文句をいうわけではないが、あの記事はどうも、そう誘導しているような節がある。と同時に、科協の「名簿」なるものの意味を知れば、名簿にあまりに拘泥しすぎることが、むしろ重要人物ないし組織の所在を見失うことになりかねないので注意が必要と思われる。

 たとえば生物兵器。北の生物兵器開発に最も貢献している組織は、科協ではない。正確に言えば、科協よりはるかに貢献度が高い、と強く推察できる組織ないし人士がある。だがこれはいままで、少なくとも北朝鮮WMD関係のいかなる報道にも登場していない、一般の人からすれば「意外な組織」だ。

 余談ながら若手の優秀な在日科学者は、ときおり「セセデ」や「イオ」の誌面を飾る。注意して読むと、えっ、と驚くような研究をしている学者が、実にさりげなく紹介されていたりする。この2雑誌は、少なくとも過去5年にさかのぼって入念にチェックする必要があると思う。ただ問題はときどき、誌面の各所に焼き肉のうまそうな写真が載っていたりすることだ。どうにも腹が減って仕方がない。

 

 
 
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